かんだ♡みのり 20150131 @サラヴァ東京


かんだ♡みのり 20150131 @サラヴァ東京

(文・今井楓)
(写真・みく・ふらんそわーず)

IMGP0124 一番手だったユニット「ピンクに死ね!!」での、静かに病んだ大人しい黒セーラー服でのパフォーマンスから、大トリを任された(短すぎてもはやスカートの意味を果たしていない)ピンクのミニスカート巫女服にピンクのランドセルで歌い、踊り、叫ぶニューウェーブ・アイドルかんだ♡みのりへの変貌は、正直に言って観客はいい意味でも悪い意味でも(体感的な割合は7:3くらい)困惑したと思うんです。新宿JAMでも同じセットリストのライブを見たけれど、サラヴァの方がステージが広くて照明がアイドルっぽくて、昔の歌謡ショー感があってよかった。あとこれはいつものことだけれど、みのりんが出てくると客席までめちゃめちゃいいにおいがする。

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2014年5~8月にかけての新宿JAMでの「アイドル復活宣言♡ツアー」で行われた妄想劇場(ひとつのテーマに沿った曲と朗読によるパフォーマンス)のような形式のライブ。JAMではナースやウブな女子高生、右翼の少女などに扮してきたみのりんが今回演じるのは、タイの学校に転校した12歳の小学6年生。担任の岡村先生(49歳)に恋をして思いを告げるけれど、”みのりちゃんはまだ可愛い『女の子』だから気持ちには応えられない、大人の『女性』になってからもう一度思いを聞かせて欲しい”と断られてしまう。『女の子』から『女性』になる条件って……えっ、初潮!?

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「PINKのCIAO」(渡辺美奈代)でピュアな恋心の始まりを描き、オリジナル曲「チョーチョーブラックマーマーラック」(=好き好き大好き超愛してる)は”この思いを覚えたてのタイ語で伝 えます”の台詞の通り全編タイ語詞(!)で、本人による作詞は何が描かれているのか気になるところ。正統派アイドル的だった一曲目とは打って変わって、暴れる・叫ぶ・倒れ込む(この流れこそがみのりんのライブの醍醐味)!そんな全力の告白をしたけれど振られてしまい、少女は考える。”先生にふさわしい『大人の女性』ってなんだろう?”そんな疑問に続く「恋はくえすちょん」(おニャン子クラブ)は再びアイドルらしさ満点のパフォーマンス。しかし踊りながら振っていたのはペンライトでも魔法のスティックでもなく、なんと妊娠検査薬!というのがみのりんらしい。そして、女性になる条件は”生理が来ること”とお友達に教えてもらい、少女はみんなの中で自分だけがまだ生理が来ていないことを知る。可愛らしい雰囲気から一転、真っ赤な照明、高音と低音、そして叫び舞う「踊れない」(戸川純)。脚を大きく開いて、まるで機械のように右へ左へ、パンツが見えたってお構いなし。

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振られたって、自分がまだ子どもだって関係ない、先生のことが大好き。”ああ、先生のことを考えたら夜も眠れない!”クマのぬいぐるみを抱えて座り込み歌う「眠れない夜のために」(パパイヤパラノイア)。そのままごろんと横になっているうちに、いつの間にか少女は夢の中。「家庭教師」(岡村靖幸)で、『岡村先生(49歳)』にハッとした方もいるのでは?(ちなみにこの日のみのりんバンドは、全員お揃いの岡村靖幸風メガネ!) 間奏で繰り広げられるピンクでちょっぴり生々しい”お遊び”妄想、大好きな先生と、お勉強のあとのあんなことこんなこと…。そんな夢から覚めた少女は、お腹に今まで体験したことのない痛みを覚える。おそるおそるトイレに行くと……初潮!”今夜は赤飯だ!”の一声で始まる「12歳の旗」(宮村優子)は、まさに今回のテーマ「小学生の初潮」の最後にふさわしい曲。今までのキラキラした踊りや、ドロドロした叫びなんて、まるで無かったかのように気持ちよく、清々しく、爽やかに歌い上げられた。かと思えば終盤、”万歳!”の叫びとともに、客席に投げ込まれたのはおびただしい数の生理用ナプキン(ひとつひとつにイチゴジャム付き)!そして散々叫び終えたみのりんはマイクを投げ捨て、困惑する観客をよそに、曲が終わる前に駆け抜けて行ってしまった。マイクスタンドが持っていたランドセルにぶつかって、倒れてしまっても振り返ることなく。IMGP0393

みのりんは夢のように私たちの前に存在していて、それが「かんだ♡みのり12歳」すら可能にしている。どんなものにでもなれる訳じゃないけれど、自分にできること、なれるものに関しては、彼女はきっとちゃんと分かっている。サラヴァ東京はステージが低くて観客との距離がとっても近かったのに、目が合いそうで全然合わない。どこか遠くを見ていて、時々私たちには見えない何かも見えているんじゃないかというくらい。終盤はすごく汗だくだったのに、なんだかそれすらキラキラして見える。かんだ♡みのり=みのりんは、現実的な偶像と、非現実的な実在感を行ったり来たりしている女の子だと思う。
今回のライブの一連の流れは、女子の生理の身体的・精神的な起伏をそのまま表していると言っても、きっと過言ではなかった。30分に凝縮された生理の体験、良くも悪くも観客の心に残るライブとなったのでは。

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